能ってどんなもの?

提供:前島写真店

謡(うたい)と、舞、お囃子などで構成される、西洋でいうとオペラのような劇です。世界最古の演劇です。ただ、神聖なものとして行われるので、老松(神様の拠り所)に向かって演じられます。実際には老松はなく目の前にある老松が映っているものとして、鏡板(老松の描かれた背景)を背に演じられます。

日本で初めて世界無形文化遺産に選ばれました。中世からの形をそのまま継承する演劇としては世界唯一のものと言われています。

舞台に登場する人たち

シテ方‥主役とその連れの人(ツレ)。また地謡といって右端に並びコーラスのような役割をするのもシテ方です。

ワキ方‥脇役。旅の僧の場合が多い。複数人出てくることもあります。

狂言‥喜劇担当。能の曲の中で登場するときはアイ狂言といって、説明役のような形で登場します。

お囃子方‥笛方、小鼓方、大鼓方、太鼓方。それぞれに違う家が担当します。

演目の種類 神男女狂鬼と覚えてね。

江戸中期以来、能の正式な形は、最初に「翁」を演じたあと、初番目物から五番目物までを順次上演し、最後に「祝言」を演じて終わることになっていました。一日中演じられていたのですね!

現在は能が一曲か二曲、それと狂言一曲くらいが普通ですね。

その昔の上演形式に従って分類したものが下に示すものになります。

なるべくたくさんの演目を載せました。

自分の見る演目は何番目物かな?と思ったら、この記事に戻って確認してみてください😊

能の現在も演じられている演目は220曲ほどです。

初番目物(脇能)が主役の演目。劇としての内容は希薄で祝言性を強調するもの。全ての曲で神(多くは神の化身としての老翁)が降臨し、五穀豊穣を予祝したり、寺社の縁起を物語ったりする。

「高砂」「老松」「養老」「嵐山」「賀茂」「竹生島」など。

二番目物(修羅物)が主役の演目。シテは武将の霊。生前、戦いに明け暮れた罪で死後は修羅道に落ちて苦しむ、という仏教の考えに基づいている。2番目物は夢幻能である。

平太物4曲「田村」「八島」「箙(えびら)」「兼平」

公達物(きんだちもの)7曲「忠度」「清経」「経政」「敦盛」「通盛」「朝長」

老武者物2曲「頼政」「実盛」

女武者物1曲「巴」

夢幻能とは:名所旧跡を訪れた旅人(ワキ)の前に、神や歴史上か物語中の人物の幽霊、物の精、鬼畜など(シテ)が姿を見せ、土地の伝説や生前の身の上を語る。多くは前後二つの場に別れ、前半のシテ(前シテ)は無名の庶民の姿で現れ、ワキと問答してその地にゆかりのある物語などをしたあと、自分の本体を暗示して姿を消す。後シテになって初めて自分の本体の姿で現れる。ワキの僧の夢の中に現れることが多いため、夢幻能と呼ばれる。

三番目物が主役の演目。舞、歌を重んじた世阿弥の幽玄の世界を結晶させた物。能を代表する能。序ノ舞が含まれる。能の舞事の中で最も優美。

本三番目物(夢幻能)「井筒」「野宮」「東北」「采女」「夕顔」「半蔀」「二人静」「定家」「芭蕉」「江口」「楊貴妃」「松風」「源氏供養」

太鼓物(精や天人が舞う)「誓願寺」「杜若」「羽衣」「胡蝶」「雲林院」「小塩」「西行桜」「遊行桜」

現在能・大小物(太鼓無しで、笛、大鼓、小鼓だけの曲)「熊野」「千手」「草子洗」「大原御幸」

老女物「檜垣」「姥捨」「鸚鵡小町」「関寺小町」

現在能とは:登場人物が現実の人間で、ストーリーは現実の時間の流れに沿って展開する。

四番目物が主役の演目。多種多様で一、二、三、五番目物以外の物の集まり。

神楽を舞う物「三輪」「竜田」「巻絹」「葛城」

狂女がシテの物「浮舟」「玉葛」「三山」「蝉丸」「雲雀山」

我が子と生き別れ、狂って子を尋ねる母がシテの物「柏崎」「百万」「三井寺」「桜川」「隅田川」

愛する男と別れ狂った女がシテ(再会する)「花筐」「班女」「籠太鼓」「鳥追舟」「富士太鼓」「梅枝」

小野小町がシテ(深草少将が取り憑き狂乱するシーンがある)「卒塔婆小町」

後シテが地獄に苦しむ女の物「求塚」「砧」

陰陽師や山伏によって調伏される鬼女がシテの物「鉄輪」「葵上」「道成寺」「黒塚」

老人や男巫(おとこみこ)に神が憑いて神託を示す物「蟻通」「雨月」「歌占」「木賊」「高野物狂」

芸尽しを見せる物「弱法師」「芦刈」「花月」「自然居士」「東岸居士」「藤栄」「放下僧」「望月」

芸尽しとは物語の中で見どころとなる舞がたくさん詰まっているもの

恋慕の執心物「女郎花」「松虫」「錦木」「船橋」「通小町」

海の漁師、陸の猟師をシテとする物「阿漕」「善知鳥」「藤戸」

現実の人間が前場で死に、後場で怨霊となって現れる物「綾鼓」(宝生流、金剛流、喜多流)「恋重荷」(観世流)

唐の人物がシテの物「枕慈童」「天鼓」「邯鄲」「唐船」「一角仙人」「咸陽宮」

シテの悲痛な状態の人生を描く物(現在能)「景清」「俊寛」「鉢木」「摂待」

シテが直面(ひためん:面をつけないこと)で男舞を舞う物(現在能)「安宅」「盛久」「仲光」(観世流)「満仲」(宝生流、金剛流、喜多流)「小袖曽我」「小督」

シテが直面の物「橋弁慶」「夜討曽我」「正尊」「烏帽子折」「熊坂」

前後のシテが別人の物「船弁慶」

ワキ方にとって重要な曲「檀風」「谷行」「張良」

五番目物(切能)をシテとする曲が多い。1日の上演の最後の曲であるため、祝言の内容を持つ曲もこの中に入れられる。

荒ぶる神がシテの物「国栖」「泰山府君」「春日竜神」「小鍛冶」

生まれながらの鬼女がシテの物「山姥」

後シテが鬼のような姿で登場する物「野守」「鵜飼」「昭君」「鍾馗」「皇帝」

後シテが赤頭・法被・半切という出立ちの物「殺生石」「鵺」「舎利」「雷電」

後シテが赤頭・法被・半切で登場し、ワキに退治される鬼の物「大江山」「紅葉狩」「土蜘蛛」「羅生門」

天狗がシテの物「是界」「車僧」「大会」「鞍馬天狗」

男女の貴人、竜女が早舞を舞う物「融」「絃上」「当麻」「海人」

早舞とは盤渉調(ばんしきちょう)笛の音が「オーヒーヤーイーヤーイウリー」の方だそうです❓

猩々、鷺、獅子がシテの祝言の物「猩々」「鷺」「石橋」

小書‥特別な演出。番組には能の演目「〇〇」の横に、小書「。。」(字の通り、小さく書かれています)というふうに書かれています。小書のある物もあれば無い物もあります。

他の演劇との違い

古い。古語を使う。能面を使う。

儀式でもあるため、劇的要素が薄かったりする。

いろいろ違いはありますが、ご自身で比較してみて、発見したらぜひコメントで教えていただけるとありがたいです。能の家の内側にいると、もう気づけなくなってしまっていることも多いのです。

*『岩波講座 能・狂言 Ⅵ.能鑑賞案内 小山弘志編』 を参考に書いています。

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