
2026能を知ろうワークショップ第4回レポート
昨日開催した第4回ワークショップの様子をお届けします。今回は前回(第3回)と内容が重なる部分を省いてお届けします。演目の背景や能面の基礎については、ぜひ前回の記事もあわせてご覧ください。
第3回、第4回は演目も講師(梅若紀佳)も同じ稽古ですが、参加者が変わると、毎回あたらしい。同じことを学んでも、そこにいる人が変わるだけで、時間はやはり唯一になるものだと思いました。

面当て、という配慮

今回あらためて丁寧に説明していたのが、面の内側に当てるクッション「面当て(めんあて)」のことです。額や頬に当てるこの当て布(クッション)には、二つの役割があります。唇が面の内側に触れないよう謡いやすくすること。そして面を理想的な角度に固定すること。
面をかける角度は、演者の表現そのものに直結します。だからこそ、それぞれの面当ての厚みにも意図がある。こういう細部を知るたびに、能の周到さに少し圧倒される気持ちになります。
足裏が読む、舞台の地図

面をつけると視界は通常の二割。足元はほぼ見えません。
そのとき足裏が頼りにするのが、舞台の感触です。感覚を研ぎ澄まし、床板の継ぎ目、向きを読む。すり足で進みながら、足裏が静かに舞台の地図を読んでいる。見えないから、感じようとする。あの動きの必然が、面をつけた瞬間にはっきりとわかります。
霊が語る、最後の言葉

後半の稽古では、夕顔の霊が夜明けへと向かうクライマックスを学びました。
「ついの宿りは知らせもしつ」という詞があります。自分がこの世を去った場所を、僧に教えた——そういう意味です。霊が静かに、自分の死を語る言葉です。
そしてこの場面の「雲ノ扇(くものおうぎ)」の所作。両手を胸の前でそっと合わせ、ゆっくりと左右に広げていく。夜明けの光を受け、成仏へと向かう魂の晴れやかさを、ただその手の動きで表す。言葉ではなく、身体が語る瞬間です。
次回もまた、ぜひご一緒しましょう。

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